知っておくと安心!救急情報

【役立つ救急情報】キズパワーパッドを貼っていいきず・貼ってはいけないきず

小野真平(形成外科専門医)

小野 真平(おの しんぺい) 日本医科大学 形成外科 形成外科専門医 ケガやきずは、突然起こるととても不安ですよね。 私は大学病院で手や足の外傷、やけどなど幅広いケガの治療を専門に行っています。 患者さんが少しでも安心して治療を受けられるよう、わかりやすく正確な医療情報をお届けしています。 正しい応急処置を知っていただくことで、ケガの悪化を防ぎ、より早くきれいに治すお手伝いができればと思います。

【キズの処置&ケア】キズパワーパッドは万能じゃない!正しい使い方と受診が必要なケース

この記事は医師監修のもと作成した一般的な医療情報です。 すべてのケースに当てはまるわけではありません。 自己判断での処置は感染や悪化のリスクがあるため、迷ったら必ず医療機関を受診してください。
ドクター

 

【はじめに】キズパワーパッドは湿潤療法の絆創膏

  • キズパワーパッドは、モイストヒーリング(湿潤療法)を応用した絆創膏です。

    かさぶたを作らず、湿った環境で皮膚を再生させることで、早く・きれいに治るのが大きな特徴です。

  • しかし、すべてのきずに適しているわけではありません

    使用する場所を間違えると、化膿や悪化の原因になることがあります。

  • この記事では、「貼っていいきず」「貼ってはいけないきず」をわかりやすく整理して解説します。

 

貼っていいきず(自宅でケアできるケース)

  • 以下の条件を満たすきずであれば、キズパワーパッドを使用しても問題が生じることは少ないです。
貼っていいきず 理由
出血が止まった軽いすり傷 湿潤環境が皮膚再生を助け、跡が残りにくくなる
靴ずれ・衣擦れなど浅い表層のきず 感染や異物混入のリスクが低い
水ぶくれがない軽度のやけど(赤みとヒリヒリ感のみ) 組織の損傷が浅く湿潤環境で回復しやすい
透明な浸出液が少量だけ出ているきず 適切に水分を保持することで治癒が早まる

💡 チェックポイント

次の3つをすべて満たす場合のみ使用しましょう。

  1. 出血がない

  2. 膿や濁った浸出液がない(透明でサラサラ)

  3. きずが新しい(できてから1日以内)

キズパワーパッドは様々な部位・大きさのきずに使用できる

 

貼ってはいけないきず(病院を受診すべきケース)

  • 以下のようなきずにキズパワーパッドを使うと、感染や重症化の恐れがあります。
貼ってはいけないきず 理由
出血が20分以上続いて止まらない 太い血管が損傷しており、縫合や止血処置が必要
深いきずや創縁が大きく開いている 閉創処置(縫合)が必要
砂利・ガラスなど異物が入り込んでいる 感染リスクが高く、医師による洗浄・除去が必要
動物に噛まれたきず 雑菌が深く入り込み感染症の危険性が高い
赤く腫れて熱を持っている すでに感染しており、抗生剤や切開が必要
湯たんぽ・熱湯によるやけど 表面は軽く見えても深部が壊死していることがある
きずができてから数日経って膿が出ている 細菌感染が進行しており、密閉すると悪化する
キズパワーパッドによる湿潤治療はきずを密閉するので、ばい菌や異物がある状態で使用するとかえって悪化させてしまうことがあるよ。
ドクター

 

応急処置の手順

  • キズパワーパッドを貼る前には必ず基本の応急処置を行いましょう。

まずは水道水で洗浄を

  1. 流水で2〜3分以上洗う

    • 石鹸は不要、水道水で異物をしっかり流す

  2. 清潔なガーゼで圧迫止血

    • 出血が止まるまでしっかり押さえる

  3. パッドを貼る

    • 完全に止血したら清潔な手で貼る

  4. 交換は1〜2日おき

    • はがれない限り無理に交換しない

  5. 異常があればすぐ受診

    • 赤く腫れる、膿が出る、強い痛みがあるときは受診を

けがをした当日は浸出液が多く、1日2回ぐらい交換が必要になることがあるよ。患部を安静にして冷却すると滲出液の量が減るよ。
ドクター

 

家庭で備えておきたいアイテム

突然のケガに備えて、救急箱に常備しておくと安心だよ。
ドクター

【キズパワーパッド】

 

 

 

まとめ

  • キズパワーパッドは浅いきず・感染リスクが低いきずに効果的

  • 出血が止まらない、深いきず、感染が疑われる場合は絶対に使わない

  • 正しい判断と応急処置で、早く・きれいに治すことができる

  • 迷ったら無理せず医師に相談を


家庭でも正しい知識を持って応急処置を行うことで、治りが早くきれいな仕上がりにつながるよ。
ドクター

 

参考文献

  • 日本形成外科学会. 「創傷治療ガイドライン」

    https://www.jsprs.or.jp/

  • Derma Sciences, Inc. "Moist Wound Healing: Benefits and Clinical Evidence."

    Journal of Wound Care, 2019.

 

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小野真平(形成外科専門医)

小野 真平(おの しんぺい) 日本医科大学 形成外科 形成外科専門医 ケガやきずは、突然起こるととても不安ですよね。 私は大学病院で手や足の外傷、やけどなど幅広いケガの治療を専門に行っています。 患者さんが少しでも安心して治療を受けられるよう、わかりやすく正確な医療情報をお届けしています。 正しい応急処置を知っていただくことで、ケガの悪化を防ぎ、より早くきれいに治すお手伝いができればと思います。

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