漢方薬を安全に使うために知っておきたいこと
最近は、病院で処方されるだけでなく、市販薬としても多くの漢方薬が手に入るようになりました。
しかし、漢方薬も飲み方を間違えると副作用が起こることがあります。
ここでは、患者さんが安心して漢方薬を利用できるように、安全な飲み方の基本ルールをご紹介します。

漢方の成分の重複に注意しましょう!
漢方薬は2種類までが基本
- 一般的に、漢方薬は2種類までの併用が目安とされています。
これは厚生労働省や製薬会社でも推奨されている考え方で、特に漢方薬に詳しくない医師が処方する場合は重要なルールです。
なぜ3種類以上は危険なの?
同じ生薬が重なって副作用が出やすくなる
例:甘草(かんぞう)、麻黄(まおう)など
どの薬が効いているのか分かりにくくなる
効果も副作用も判定できなくなる
飲み忘れ・飲み間違いが起こりやすい
薬が増えると管理が難しくなる
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特に注意したい2つの生薬
- 漢方薬にはさまざまな生薬(しょうやく)が含まれていますが、特に注意が必要なのが「甘草」と「麻黄」です。
これらは複数の漢方薬に含まれているため、知らずに重複してしまうことがあります。
甘草(かんぞう)
多くの漢方薬に含まれる代表的な生薬
飲みすぎると「偽アルドステロン症」という副作用を起こすことがあります
血圧が上がる
手足や顔がむくむ
体がだるい
手足のしびれ、不整脈、低カリウム血症
特に高齢者、腎臓が弱い方、血圧が高めの方は注意が必要です。
ポイント
甘草は1日2.5g以下が安全な範囲とされています【厚生労働省, PMDA】。
2種類以上の漢方薬を一緒に飲むと、知らないうちにこの量を超えてしまうことがあります。
麻黄(まおう)
風邪薬や鼻づまり改善に使われる生薬
「交感神経刺激作用」があり、飲みすぎると次の症状が出ることがあります
動悸
不眠
興奮、発汗
血圧上昇、めまい
心臓病や高血圧がある方は特に注意が必要です。
ポイント
麻黄は1日5.0g以下が安全な範囲です。
葛根湯(かっこんとう)や小青竜湯(しょうせいりゅうとう)など、複数の薬に含まれるため重複しやすい成分です。
よくある危険な例
漢方薬 | 麻黄の量 | 甘草の量 |
---|---|---|
葛根湯(かっこんとう) | 3.0g | 2.0g |
小青竜湯(しょうせいりゅうとう) | 3.0g | 2.0g |
合計 | 6.0g(超過) | 4.0g(超過) |
⚠️ この併用は非常に危険です!
麻黄・甘草ともに安全量を大きく超え、副作用のリスクが一気に高まります。
同時に服用することは避け、必ず医師に相談してください。
患者さんができる安全対策
今飲んでいる漢方薬をメモしておく
薬の名前、飲む回数、飲み始めた日を記録しましょう。
市販の漢方薬も必ず医師に伝える
市販薬と病院薬を組み合わせて飲むと、知らないうちに重複してしまうことがあります。
体の変化を早めに伝える
むくみ、手足のしびれ、動悸、眠れないなど、少しでも異変を感じたらすぐに医師や薬剤師へ。
まとめ
生薬 | 1日安全目安 | 主な副作用 |
---|---|---|
麻黄 | 5.0g以下 | 不眠、動悸、血圧上昇 |
甘草 | 2.5g以下 | むくみ、高血圧、手足のしびれ、偽アルドステロン症 |
漢方薬は2種類までが安全の目安です。
特に「甘草」「麻黄」が含まれる薬は重複に注意しましょう。
自己判断で薬を追加・中止せず、必ず医師・薬剤師に相談してください。
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漢方は基本的に2剤まで
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