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【役立つ医療情報】漢方薬を安全に使うために|2種類までが基本・甘草と麻黄に注意

小野真平(形成外科専門医)

小野 真平(おの しんぺい) 日本医科大学 形成外科 形成外科専門医 ケガやきずは、突然起こるととても不安ですよね。 私は大学病院で手や足の外傷、やけどなど幅広いケガの治療を専門に行っています。 患者さんが少しでも安心して治療を受けられるよう、わかりやすく正確な医療情報をお届けしています。 正しい応急処置を知っていただくことで、ケガの悪化を防ぎ、より早くきれいに治すお手伝いができればと思います。

漢方薬を安全に使うために知っておきたいこと

  • 最近は、病院で処方されるだけでなく、市販薬としても多くの漢方薬が手に入るようになりました。

  • しかし、漢方薬も飲み方を間違えると副作用が起こることがあります

  • ここでは、患者さんが安心して漢方薬を利用できるように、安全な飲み方の基本ルールをご紹介します。

漢方の成分の重複に注意しましょう!

 

漢方薬は2種類までが基本

  • 一般的に、漢方薬は2種類までの併用が目安とされています。

    これは厚生労働省や製薬会社でも推奨されている考え方で、特に漢方薬に詳しくない医師が処方する場合は重要なルールです。

なぜ3種類以上は危険なの?

  1. 同じ生薬が重なって副作用が出やすくなる

    • 例:甘草(かんぞう)、麻黄(まおう)など

  2. どの薬が効いているのか分かりにくくなる

    • 効果も副作用も判定できなくなる

  3. 飲み忘れ・飲み間違いが起こりやすい

    • 薬が増えると管理が難しくなる

漢方の処方に精通している医師が、成分や効果を確認しながら3種類以上だすのは問題ないよ。漢方を専門にしている医師は少ないので、注意が必要という意味だよ。
ドクター

 

特に注意したい2つの生薬

  • 漢方薬にはさまざまな生薬(しょうやく)が含まれていますが、特に注意が必要なのが「甘草」「麻黄」です。

    これらは複数の漢方薬に含まれているため、知らずに重複してしまうことがあります。

甘草(かんぞう)

  • 多くの漢方薬に含まれる代表的な生薬

  • 飲みすぎると「偽アルドステロン症」という副作用を起こすことがあります

    • 血圧が上がる

    • 手足や顔がむくむ

    • 体がだるい

    • 手足のしびれ、不整脈、低カリウム血症

  • 特に高齢者、腎臓が弱い方、血圧が高めの方は注意が必要です。

ポイント

目安

甘草は1日2.5g以下が安全な範囲とされています【厚生労働省, PMDA】。

2種類以上の漢方薬を一緒に飲むと、知らないうちにこの量を超えてしまうことがあります。


麻黄(まおう)

  • 風邪薬や鼻づまり改善に使われる生薬

  • 「交感神経刺激作用」があり、飲みすぎると次の症状が出ることがあります

    • 動悸

    • 不眠

    • 興奮、発汗

    • 血圧上昇、めまい

  • 心臓病や高血圧がある方は特に注意が必要です。

ポイント

目安

麻黄は1日5.0g以下が安全な範囲です。

葛根湯(かっこんとう)や小青竜湯(しょうせいりゅうとう)など、複数の薬に含まれるため重複しやすい成分です。

 

よくある危険な例

漢方薬麻黄の量甘草の量
葛根湯(かっこんとう)3.0g2.0g
小青竜湯(しょうせいりゅうとう)3.0g2.0g
合計6.0g(超過)4.0g(超過)

⚠️ この併用は非常に危険です!

  • 麻黄・甘草ともに安全量を大きく超え、副作用のリスクが一気に高まります。

  • 同時に服用することは避け、必ず医師に相談してください。

 

患者さんができる安全対策

  1. 今飲んでいる漢方薬をメモしておく

    • 薬の名前、飲む回数、飲み始めた日を記録しましょう。

  2. 市販の漢方薬も必ず医師に伝える

    • 市販薬と病院薬を組み合わせて飲むと、知らないうちに重複してしまうことがあります。

  3. 体の変化を早めに伝える

    • むくみ、手足のしびれ、動悸、眠れないなど、少しでも異変を感じたらすぐに医師や薬剤師へ。

 

まとめ

生薬1日安全目安主な副作用
麻黄5.0g以下不眠、動悸、血圧上昇
甘草2.5g以下むくみ、高血圧、手足のしびれ、偽アルドステロン症
  • 漢方薬は2種類までが安全の目安です。

  • 特に「甘草」「麻黄」が含まれる薬は重複に注意しましょう。

  • 自己判断で薬を追加・中止せず、必ず医師・薬剤師に相談してください。

漢方は基本的に2剤まで

 

本記事は、漢方薬を安全に使うための一般的な情報を提供しています。 記載内容は診断や治療を目的としたものではありません。 実際の服薬は必ず医師・薬剤師に相談し、自己判断での服用は避けてください。
ドクター

 

一般の方が「漢方薬」について楽しく、かつ安全に学べる本は、専門知識がない人でも理解しやすい内容と、イラスト・図解が多いものがおすすめです。ここでは、口コミ評価が高く、長く読まれているベストセラー本を紹介します。
ドクター

 

 

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