頭のキズの特徴
- 頭の皮膚は、 硬い頭蓋骨の上を覆っているため、軽くぶつけただけでキズがパカッと開きやすいです。
- 頭(顔や手も)は血流が豊富なので、キズができるとドバッと出血してパニックになります。まずはタオル、ハンカチ、ガーゼで患部を圧迫しましょう。その上から保冷材で冷却すると血管が縮こまるので止血しやすくなります。
- 頭のキズは、以下の3つの特徴があります。基本的にはその日のうちに病院(脳神経外科、形成外科、外科、など)を受診をしましょう。
(a) 出血が止まりづらい。 (b) 縫合処置が必要なことが多い。 (c) 頭を強くぶつけた場合は、頭の中が大丈夫か、精査(頭部CTなど)が必要。
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頭のキズの縫合で使う医療用ホッチキス
- 通常、キズは糸で縫合します。
- ただし、頭のキズは医療用ホッチキス(ステイプラー)を使ってカチカチと閉じることが多いです。
(1) 皮膚の血流障害のリスク↓
- 下手に糸で強く結ぶと皮膚の血の流れが悪くなり、脱毛のリスクが生じます。
皮膚断面からみた医療用ホッチキス(左)と縫合糸(右)の違い
(2)処置が数秒でおわります。
- 救急外来など応急処置の現場で適しています。
- 安静を保つことが難しい小児では特に有用です。
(3)局所麻酔や剃毛が不要なことが多いです。
- 頭のキズが砂利などで汚染されていれば、局所麻酔をして異物を除去する必要があります。一方、汚くなければ洗浄して、無麻酔で医療用ホッチキスで縫合が可能です。局所麻酔も注射なので痛みがあります。それであれば数秒の我慢ですむ医療用ホッチキスは無麻酔で、という考え方です。
- 頭(有毛部)のキズを糸で縫合するのは、髪の毛と糸がからまって大変です。そのため、剃毛(キズの周り毛を剃ること)が必要になることが多いです。医療用ホッチキスは剃毛しないでも処置が可能です。
医療用ホッチキスで縫合後の自宅での処置は?
- 基本的には、処置をしてくれた先生の指示にしたがってください。(キズの処置は医師や科によっても違うのが現状です。以下、多くの形成外科医がおこなっている自宅処置指導を紹介します。)
- 処置直後:処置直後はガーゼで5〜10分患部を軽く圧迫します。圧迫で創縁からのジワジワとした出血が止まれば患部のドレッシング(ガーゼ、包帯、ネット)は不要です。血液サラサラ薬を飲んでいる場合は例外的に、患部にガーゼをあてて包帯やネットで圧迫固定をすることがあります。御自宅に戻ったら、保冷材で患部を冷却するとさらなる止血効果と除痛が期待できます。保冷材は直接患部にあてると冷えすぎてしまうため、ハンカチやガーゼで包んで使用しましょう。
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- 自宅処置:処置翌日から泡石鹸・シャワー洗浄処置を開始します。泡石鹸の種類は問いませんが、下のビオレガード薬用泡ハンドソープが洗浄力と肌へのやさしさの観点からオススメです。泡立てた石鹸でホッチキス周囲の血糊を少しずつ溶かすように洗浄しましょう。患部を指でゴシゴシする必要はなく、泡を介して血糊を吸い上げるように洗ってください(ホッピングと呼ばれる洗い方です)。シャワー後に軟膏を患部に外用しても良いですが必須ではありません(医師の指示にしたがいましょう)。
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★洗髪処置の根拠:縫合後24〜48時間以内に上皮の再生がおこり、創は完全にシールされため、外部からの細菌感染の危険は少なくなります。むしろ血餅(血流のない組織)が創縁に残存するほうが菌が増殖して感染するリスクが高まります。この血餅は消毒ではとれづらく、泡石鹸で容易にとることができます。
医療用ホッチキスを抜鉤するときは痛くないの?