【頭の傷】出血が多い理由と正しい応急処置・受診目安
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【はじめに】頭の傷はなぜ出血が多いの?
- 頭は血流がとても豊富な部位です。そのため、ちょっとした傷でもドバッと出血してパニックになりがちです。
- さらに、頭皮の下には硬い頭蓋骨があるため、軽い衝撃でも皮膚がパカッと開くことがあり、縫合が必要になるケースも少なくありません。
- まずは、タオルやガーゼ、ハンカチで傷をしっかり圧迫止血しましょう。
さらに保冷剤で冷却すると血管が収縮し、出血が止まりやすくなります。
【受診目安】病院に行くべきサイン
- 頭の傷は基本的にその日のうちに病院(救急外来、脳神経外科、形成外科など)を受診しましょう。
- 特に下記の症状があれば、早急に受診が必要です。
受診を検討すべきケース | 理由 |
---|---|
出血が20分以上続いて止まらない | 太い頭皮の血管が損傷している可能性がある |
血液サラサラの薬を服用している | 20分経っても出血が止まらないことが多く、縫合処置や止血剤での対応が必要なため |
傷が大きく開いている | 縫合や医療用ホッチキスで閉じる処置が必要 |
頭を強く打った、意識が飛んだ | 頭蓋内損傷(脳出血など)がないか検査が必要 |
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【医療用ホッチキスとは?】
- 頭の傷は、医療用ホッチキス(ステイプラー)で処置されることが多いです。
- 通常は糸で縫合しますが、頭の場合は髪の毛が絡むため、ホッチキスで閉じる方が早く、局所麻酔や剃毛が不要なことが多いです。
メリット
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処置時間が短い(数秒で完了)
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局所麻酔が不要な場合が多い
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皮膚の血流障害が少なく脱毛リスクが下がる
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剃毛しなくても処置できる
デメリット
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抜鉤後に針穴が赤く残りやすい(ただし髪の毛で隠れるため目立ちません)。

医療用ホッチキスによる処置は、きずぐちの血流障害が少なく脱毛しづらい
【自宅でのケア】
- 医療用ホッチキス処置直後は、以下の自宅ケアを行いましょう。
処置直後
- 頭を心臓より高い位置に保つ(座位、または仰向けの場合は枕で頭を少し高くする)
-
保冷剤をハンカチで包み、患部を冷却する
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翌日以降
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泡石鹸・シャワーでホッチキス周囲をやさしく洗浄
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指でゴシゴシせず、泡を介して血糊を溶かすイメージで
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シャワー後は清潔なタオルで軽く水分を拭く
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軟膏の使用は医師の指示に従う(不要なことも多い)
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泡石鹸が便利
【抜鉤(ばっこう)について】
- 通常、ホッチキスは7〜10日後に抜鉤します。
- 抜鉤は専用器具を使い、「∩」型のホッチキスを「M」型にしてスッと抜くため、痛みは最小限(注射より痛くない)です。
💡 ポイント
-
抜鉤前にしっかり洗浄して血糊を落としておくと痛みが軽減します。

医療用ホッチキス処置後1週間の状態。連日の泡石鹸洗浄によりホッチキス周囲に血糊はありません。

専用のリムーバー使って抜鉤します。 リムーバーの先端を鉤と頭皮の間に潜り込ませる操作を慎重にすることで痛みを最小限にすることができます。血糊がないことが重要ですね。

医師がリムーバーのリング(指穴)を握ると「∩」だったホッチキスが「M」のようになります。

針先が皮膚から垂直にスッと抜けるので痛みは「ほぼない〜ごくわずか」です。
家庭で用意しておきたい便利グッズ
【氷嚢】
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【頭のネット包帯】
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【泡石鹸】
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【インナーキャップ】
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まとめ
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頭の傷は出血が多くパニックになりやすいけど、まずは落ち着いて圧迫&冷却を
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①出血が止まらない、②血液サラサラ内服、③きずがパカッと開いている、④頭を強く打った、はすぐに救急外来に受診を!
- 救急外来での医療用ホッチキスは処置が早く、剃毛や麻酔が不要な場合が多い
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自宅でのケアは当日は冷却・頭アップ、翌日〜は泡石鹸洗浄
参考文献
- 日本救急医学会. 「頭部外傷ガイドライン」
https://www.jaam.jp/ - 日本形成外科学会. 「創傷・熱傷・皮膚潰瘍ガイドライン」
https://www.jsprs.or.jp/