キズの処置&ケア

【キズの処置&ケア】きずあとの色素沈着を目立たなくするには?

小野真平(形成外科専門医)

小野 真平(おの しんぺい) 日本医科大学 形成外科 形成外科専門医 ケガやきずは、突然起こるととても不安ですよね。 私は大学病院で手や足の外傷、やけどなど幅広いケガの治療を専門に行っています。 患者さんが少しでも安心して治療を受けられるよう、わかりやすく正確な医療情報をお届けしています。 正しい応急処置を知っていただくことで、ケガの悪化を防ぎ、より早くきれいに治すお手伝いができればと思います。

【キズの処置&ケア】きずあとの色素沈着を目立たなくするには?

  • ケガや手術のあと、「きずが治ったはずなのに茶色く残ってしまった…」という経験はありませんか?

  • この茶色いあとを色素沈着といいます。

  • 色素沈着は、きずが治る過程で起こる肌の防御反応で、多くは時間とともに薄くなりますが、適切なケアをしないと長引いたり濃く残ることがあります。

  • この記事では、色素沈着を目立たなくするための正しいケア方法を形成外科専門医がわかりやすく解説します。

色素沈着

1. きずあとの色素沈着とは?

色素沈着は、きずが治ったあとに皮膚が茶色や赤黒く見える状態です。

皮膚の炎症や紫外線などの刺激でメラニン色素が過剰に作られ、皮膚に残ることで起こります。

よくある原因

  • ケガや手術後の炎症

  • 紫外線による刺激

  • きずあとをかきむしる、こする

  • 摩擦の強い衣服や靴による刺激

きずを早く治すと色素沈着は生じづらくなるよ。
ドクター

 

2. 色素沈着を目立たなくするためのポイント

色素沈着を防ぐ・薄くするためには、日常生活でのちょっとした工夫が大切です。

① 紫外線対策を徹底する

紫外線はメラニンを増やす最大の原因です。

きずあとが紫外線にさらされると、色素沈着が濃くなってしまいます。

おすすめケア

  • 傷あとに日焼け止めを塗る(SPF30以上)

  • 服やテープで覆う

  • 屋外では日傘や帽子を活用する

💡 ポイント

日焼け止めは肌に優しい敏感肌用タイプがおすすめです。


② 保湿をしっかりする

乾燥すると皮膚のバリア機能が低下し、色素沈着が悪化しやすくなります。

傷がふさがったら、保湿剤をしっかり塗りましょう。

おすすめ保湿剤

  • ワセリン

  • セラミド入り保湿クリーム

日焼け止めを塗る


③ テーピングで刺激を防ぐ

きずあとの皮膚はとてもデリケートです。

テープで保護すると、摩擦や刺激を減らすことができます。

形成外科では、術後のきずあとに紙テープを貼るケアを推奨することもあります。


④ 美白効果のある薬やクリームを使用

色素沈着が気になるときは、美白成分を含むクリームや医薬品を併用すると効果的です。市販でも売られていますが、より効果の高いものを希望する場合は病院で相談しましょう。

代表的な成分

  • ハイドロキノン

  • ビタミンC誘導体

  • トラネキサム酸

⑤ ビタミンCを内服する

外傷後の色素沈着に対して、ビタミンCの内服は比較的安全で取り入れやすい方法のひとつです。

ただし、効果は「ゆるやか」であり、補助的なケアとして考えるのが基本です。


ビタミンCが色素沈着に効く理由

ビタミンC(アスコルビン酸)には以下の作用があります:

作用 色素沈着への効果
メラニン生成を抑える 紫外線や炎症によって過剰に作られるメラニンを抑える
抗酸化作用 炎症後の皮膚の酸化ストレスを軽減し、回復を助ける
コラーゲン生成促進 傷あとの皮膚の再生をサポート

これらにより、炎症後色素沈着(PIH:Post-Inflammatory Hyperpigmentation)を薄くするサポート効果が期待できます。


飲み方と期間

項目 推奨目安
量(成人) 1日500mg〜1000mg(分割服用が望ましい)
期間 少なくとも2〜3か月以上継続が理想
タイミング 朝・夜など2回に分けて服用すると吸収が安定

💡 ビタミンCは水溶性ビタミンのため、一度に大量に飲んでも体内に蓄積されず尿として排出されます

そのため、少量を分けて継続することがポイントです。

 

3. 色素沈着が濃くなる前に!家庭で使えるおすすめアイテム

  • 家庭で使いやすい、色素沈着ケアに役立つアイテムを紹介します。

    Amazonや楽天でも購入できるものを中心に選びました。

【敏感肌用日焼け止め(SPF30以上)】

この商品のSPFは50だよ。
ドクター

 

【セラミド入り保湿クリーム】

ビタミンC誘導体、セラミド、植物エキス、ビタミンEが配合されているよ。
ドクター

 

【きずあとケアテープ】

 

【紫外線対策のアームカバー】

 

 

4. 外傷後色素沈着が薄くなるまでの期間

状態 目安期間 特徴
軽度(薄い茶色、範囲が小さい) 約3〜6か月 適切な紫外線対策と保湿で徐々に薄くなる
中等度(はっきりした茶色、範囲が広い) 半年〜1年 薄くなるまで時間がかかり、外用薬やレーザー治療が有効なことも
重度(濃い茶色や黒っぽい、炎症を繰り返す) 1〜2年以上 自然に完全に消えるのは難しく、医療機関での治療が必要になる場合も

なぜ時間がかかるのか?

  • メラニン色素が皮膚の奥に沈着しているため、皮膚のターンオーバー(新陳代謝)で少しずつ外に押し出されるしかありません。

  • ターンオーバーは年齢とともに遅くなるため、子どもは早く薄くなりやすい一方、大人は時間がかかります。

    • 子ども:約3〜6か月

    • 成人:約6か月〜1年以上

    • 高齢者:1年以上かかることも珍しくない

濃い色素沈着にはハイドロキノン軟膏やレーザー治療が有効だよ。形成外科や美容皮膚科で相談しよう。
ドクター

 

まとめ

  • 色素沈着は傷あとにメラニン色素が沈着して起こる

  • 紫外線対策・保湿・テーピングがケアの基本

  • 濃い色素沈着にはハイドロキノン軟膏やレーザー治療が有効 → 形成外科や美容皮膚科を受診

正しいケアを早く始めることで、きずあとの色素沈着は目立ちにくくなります。

毎日の習慣として、肌をやさしく守ってあげましょう。

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小野真平(形成外科専門医)

小野 真平(おの しんぺい) 日本医科大学 形成外科 形成外科専門医 ケガやきずは、突然起こるととても不安ですよね。 私は大学病院で手や足の外傷、やけどなど幅広いケガの治療を専門に行っています。 患者さんが少しでも安心して治療を受けられるよう、わかりやすく正確な医療情報をお届けしています。 正しい応急処置を知っていただくことで、ケガの悪化を防ぎ、より早くきれいに治すお手伝いができればと思います。

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