ケガごとの対処法

【ケガ別の応急処置】やけどした!どうする?正しい冷却方法と病院受診の目安

小野真平(形成外科専門医)

小野 真平(おの しんぺい) 日本医科大学 形成外科 形成外科専門医 ケガやきずは、突然起こるととても不安ですよね。 私は大学病院で手や足の外傷、やけどなど幅広いケガの治療を専門に行っています。 患者さんが少しでも安心して治療を受けられるよう、わかりやすく正確な医療情報をお届けしています。 正しい応急処置を知っていただくことで、ケガの悪化を防ぎ、より早くきれいに治すお手伝いができればと思います。

やけどした!どうする?医師が解説する応急処置と受診の目安

  • 料理中に熱湯や油がはねたり、アイロンやストーブに触れてしまったり…。

    やけどは日常生活でとても多いケガです。
  • 「やけどした!」とパニックになる前に、正しい応急処置を知っておくことが大切です。
  • この記事では、やけどをしたときに最初にするべきことと、病院を受診する目安をわかりやすく解説します。
【注意!】

熱傷は日常生活の中で頻繁に発生するケガです。 熱湯や油、アイロンやストーブなど、身近な原因で皮膚が損傷します。 初期対応を誤ると、やけどが深くなったり感染が起こるリスクが高まります。 ここでは「最初に行うべき応急処置」と「病院を受診する目安」について解説します。 なお、ここで紹介する処置はあくまでも応急対応であり、症状が重い場合は必ず医療機関を受診してください。

ドクター

足のやけど:赤みと水ぶくれ

 

やけどしたらまず冷却!

冷却の手順(Step by Step)

① シャワーや流水で5〜10分間冷やす

  • 自宅であればシャワーで直接冷やすのがおすすめ。

  • 服の上から熱湯をかぶった場合は、無理に服を脱がせず、服の上から冷やしましょう

氷水は使わないよ。氷水は血流を悪化させて組織の障害を進めてします可能性があるからね。流水・シャワーの温度は、ひんやりして気持ちいい程度がベストだよ。
ドクター
項目 推奨内容
水温 15〜25℃(流水またはシャワー程度の冷たさ)
時間 5〜30分(目安は最初の5〜10分)
範囲 やけど部位のみを中心に冷却(広範囲は全身冷却にならないよう注意)

 

やけどをしたら、とにかくすぐに冷やす!

服の上から熱湯をかぶった場合は、無理に服を脱がせず、服の上から冷やしましょう

② ぬらしたガーゼで患部を保護

  • 清潔なガーゼ・ハンカチ・ガーゼタオルをぬらして、やけどの部分にあてます。

清潔なガーゼやハンカチで患部をやさしく保護

 

③ その上をタオルで包む

  • ぬらしたガーゼを直接外気に触れさせないよう、乾いたタオルで軽く包みます。

ガーゼの上からタオルで包んで保護

 

 

④ 保冷材や氷嚢でさらに冷却

  • タオルの上から保冷剤や氷嚢をあてて、冷却を続けながら病院へ向かいましょう

保冷材や氷嚢でさらに冷却

 

やってはいけないこと

  • 消毒は不要です(かえって皮膚に刺激となり治りを遅らせる可能性あり)。

  • 水ぶくれはつぶさないで!

    → 皮膚を守る役割があるため、破ると痛みが強くなり、感染のリスクが高まります。

 

どんなときに病院を受診する?

  • やけどは軽症でも痛みが強く、不安になりやすいケガです。

    以下のいずれかに当てはまる場合は、迷わず病院を受診しましょう

受診が必要なケース 理由
油でやけどした 熱湯よりも高温で深いやけどになりやすいため
水ぶくれができている II度熱傷の可能性があり、軟膏治療や感染管理が必要
やけどの面積が手のひらより大きい 重症度が高く、治療に時間がかかる可能性がある
やけどをして、すぐに水ぶくれができる場合は、そこそこやけどが深い可能性があるよ。油によるやけどの場合によくみられるよ。
ドクター

 

やけどの深さと回復期間

やけどの分類 特徴 回復の目安
I度(軽症) 赤みのみ、翌日には消える 数日で自然に回復
II度(中等症) 水ぶくれができる、強い痛み 約2週間で治癒、軟膏治療が必要
III度(重症) 皮膚が白く・黒くなる、痛みが少ない 手術が必要なことが多い

 

家庭に常備しておくと安心なアイテム

  • やけどの応急処置には、家庭で準備しておくと安心なアイテムがあります。

【氷嚢】

発熱や捻挫の時にも重宝するよ。一家に一個は必要だね。
ドクター

 

【ガーゼの代わりに】

モイスキンパッドやキズパワーパッドはやけどの自宅処置の際に使いやすいよ。
ドクター

 

【救急箱】

いざという時のために自宅の救急箱を整備しておこう。
ドクター

 

 

まとめ

  • やけどしたらまずは流水で5〜10分間冷却!

  • 消毒や水ぶくれをつぶすのはNG

  • 油によるやけど、水ぶくれ、手のひらより大きい範囲のやけどは必ず病院受診

  • 家庭にガーゼや保冷材を常備しておくと安心

正しい応急処置が、やけどの悪化を防ぎ、きれいに治す第一歩になります。

 

参考文献(引用元)

 

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小野真平(形成外科専門医)

小野 真平(おの しんぺい) 日本医科大学 形成外科 形成外科専門医 ケガやきずは、突然起こるととても不安ですよね。 私は大学病院で手や足の外傷、やけどなど幅広いケガの治療を専門に行っています。 患者さんが少しでも安心して治療を受けられるよう、わかりやすく正確な医療情報をお届けしています。 正しい応急処置を知っていただくことで、ケガの悪化を防ぎ、より早くきれいに治すお手伝いができればと思います。

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