やけどした!どうする?医師が解説する応急処置と受診の目安
- 料理中に熱湯や油がはねたり、アイロンやストーブに触れてしまったり…。
やけどは日常生活でとても多いケガです。 - 「やけどした!」とパニックになる前に、正しい応急処置を知っておくことが大切です。
- この記事では、やけどをしたときに最初にするべきことと、病院を受診する目安をわかりやすく解説します。
熱傷は日常生活の中で頻繁に発生するケガです。 熱湯や油、アイロンやストーブなど、身近な原因で皮膚が損傷します。 初期対応を誤ると、やけどが深くなったり感染が起こるリスクが高まります。 ここでは「最初に行うべき応急処置」と「病院を受診する目安」について解説します。 なお、ここで紹介する処置はあくまでも応急対応であり、症状が重い場合は必ず医療機関を受診してください。
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足のやけど:赤みと水ぶくれ
やけどしたらまず冷却!
冷却の手順(Step by Step)
① シャワーや流水で5〜10分間冷やす
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自宅であればシャワーで直接冷やすのがおすすめ。
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服の上から熱湯をかぶった場合は、無理に服を脱がせず、服の上から冷やしましょう。
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項目 | 推奨内容 |
---|---|
水温 | 15〜25℃(流水またはシャワー程度の冷たさ) |
時間 | 5〜30分(目安は最初の5〜10分) |
範囲 | やけど部位のみを中心に冷却(広範囲は全身冷却にならないよう注意) |

やけどをしたら、とにかくすぐに冷やす!

服の上から熱湯をかぶった場合は、無理に服を脱がせず、服の上から冷やしましょう
② ぬらしたガーゼで患部を保護
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清潔なガーゼ・ハンカチ・ガーゼタオルをぬらして、やけどの部分にあてます。

清潔なガーゼやハンカチで患部をやさしく保護
③ その上をタオルで包む
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ぬらしたガーゼを直接外気に触れさせないよう、乾いたタオルで軽く包みます。

ガーゼの上からタオルで包んで保護
④ 保冷材や氷嚢でさらに冷却
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タオルの上から保冷剤や氷嚢をあてて、冷却を続けながら病院へ向かいましょう。

保冷材や氷嚢でさらに冷却
やってはいけないこと
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消毒は不要です(かえって皮膚に刺激となり治りを遅らせる可能性あり)。
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水ぶくれはつぶさないで!
→ 皮膚を守る役割があるため、破ると痛みが強くなり、感染のリスクが高まります。
どんなときに病院を受診する?
-
やけどは軽症でも痛みが強く、不安になりやすいケガです。
以下のいずれかに当てはまる場合は、迷わず病院を受診しましょう。
受診が必要なケース | 理由 |
---|---|
油でやけどした | 熱湯よりも高温で深いやけどになりやすいため |
水ぶくれができている | II度熱傷の可能性があり、軟膏治療や感染管理が必要 |
やけどの面積が手のひらより大きい | 重症度が高く、治療に時間がかかる可能性がある |
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やけどの深さと回復期間
やけどの分類 | 特徴 | 回復の目安 |
---|---|---|
I度(軽症) | 赤みのみ、翌日には消える | 数日で自然に回復 |
II度(中等症) | 水ぶくれができる、強い痛み | 約2週間で治癒、軟膏治療が必要 |
III度(重症) | 皮膚が白く・黒くなる、痛みが少ない | 手術が必要なことが多い |
家庭に常備しておくと安心なアイテム
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やけどの応急処置には、家庭で準備しておくと安心なアイテムがあります。
【氷嚢】
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【ガーゼの代わりに】
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【救急箱】
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まとめ
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やけどしたらまずは流水で5〜10分間冷却!
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消毒や水ぶくれをつぶすのはNG
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油によるやけど、水ぶくれ、手のひらより大きい範囲のやけどは必ず病院受診
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家庭にガーゼや保冷材を常備しておくと安心
正しい応急処置が、やけどの悪化を防ぎ、きれいに治す第一歩になります。
参考文献(引用元)
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日本形成外科学会 編. 「熱傷治療ガイドライン 2020」
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American Burn Association. Burn Center Referral Criteria. 2022
- Greenhalgh DG. Management of burns. N Engl J Med. 2019;380(24):2349-2359. doi:10.1056/NEJMra1807442